vol.091 こころを充電 いま会いに行きたい神さまの木②

こころを充電 いま会いに行きたい神さまの木②

御神木特集第二弾は、鎮守の杜のシンボルになっている巨木に注目。千年前、二千年前から土地のシンボルとなり、人々の暮らしを見守ってきた名木をご紹介します。

1.願いをかなえる全国2位の巨樹 ~ 熱海来宮神社

強い生命力を感じる「大楠」。ライトアップされる夜も迫力があります。

「思うことを誰にも言わずにご神木を一回りすると願い事がまとまる」。そんな言い伝えがあるのが、静岡県熱海市にある熱海来宮神社(あたみきのみやじんじゃ)の大楠です。

熱海来宮神社の起源は今から1300年前。熱海湾で網にかかった御木像から童子があらわれ「我こそは五十猛命(いたけるのみこと)である。(中略)7本の楠の洞に私を祀りなさい」と漁夫が告げられ、村人たちが探したところ、お告げのとおりの地を見つけたのが始まりとされています。
7本のうち5本は残念ながら伐採されてしまいましたが、残り2本は「大楠」「第二大楠」と称され、今も境内に根を張っています。

「第二大楠」は落雷のため中が空洞になってしまいましたが、「大楠」は現在も成長を続けているそう。「大楠」の樹齢は2000年以上、根回りは約24m。大人が10人以上手をつなげてもまだ足りないほどの巨樹は、1933年には国の天然記念物に指定され、1988年と2000年におこなわれた環境省の全国巨樹調査では、6万8000本の中から2位の巨木と認定されています。

古くから「神さまが降る」とされ信仰の対象になってきた木は、畏怖を覚えるほどの迫力。「願いがかなう」という言い伝え以外にも「幹を1周廻ると寿命が1年延命する」などの御神徳も伝わるので、真摯な気持ちで1周りしてみましょう。

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2.2本の巨樹が安産の神さまのシンボル ~ 宇美八幡宮

「衣掛けの森」は環境相の巨樹調査で全国6位。幹廻りは20mにもなります。
のびのびと枝を広げる「湯蓋の森」。

「湯蓋の森」「衣掛けの森」という2本の木を有するのが福岡県糟屋郡宇美町にある宇美八幡宮(うみはちまんぐう)。
推定樹齢2000年。

天然記念物に指定された巨木は、1本の木に“森”と名付けられるのも納得の大きさ。ごつごつとしたコブに覆われた幹から四方にのびのびと枝を伸ばし大きな日影を作っています。

宇美八幡宮は、応神天皇とその母君である神功皇后をはじめとする五柱の御祭神を祀る神社。神功皇后は、身ごもりながらもおこなった三韓征伐が終わり、帰途の途中にこの宇美の地で応神天皇を出産されたと伝えられています。宇美八幡宮は、その伝説に地に創建されました。

「湯蓋の森」は枝が繁り湯釜の上に蓋のようだったため、「衣掛けの森」は産衣を掛けたことから、後にその名が付けられたと伝わっています。また、出産時にすがり、安産されたといわれる「子安の木」もあり、安産と育児の守り神として篤く信仰を集めています。

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3.大楠を中心に太古の自然を形成する鎮守の杜 ~ 柞原八幡宮

見上げるばかりの大きさ。1922年に天然記念物に指定されています。

山の中腹に建つ大分県大分市の柞原八幡宮(ゆすはらはちまんぐう)の大楠は、伝承では樹齢3000年といわれる古木。
環境省の調査では樹高30m、幹周18.5m、全国有数の大きさです。

社伝には、承和3年(836年)、延暦寺の名僧・金亀(こんき)和尚が宇佐神宮に籠もり修行した際に神告を受けて勧請されたと伝えられています。

樹齢3000年を確かめるすべはありませんが、社が建てられる前、まだ人の姿もあまり見られなかったほどの昔からこの地を見守ってきたのでしょう。

ほかにも、ポルトガル人から寄せられたとされる「ホルトの木」や神社入り口の右側には天を突くようにそびえる大杉もあり、こんもりと全てを覆うような鎮守の杜を形成しています。大楠の横に建つ南大門のレリーフを始め朱塗りの社殿群などの見どころもあり、古社の赴きを感じられる神社散策が楽しめるでしょう。

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4.《その他の神社》どこ行く?巨木の御神木がある神社

一之宮貫前神社(いちのみやぬきさきじんじゃ)群馬・富岡市

樹齢1200年の大杉をはじめ、名木がそろう

葛見神社(くずみじんじゃ)静岡・伊東市

天然記念物指定の「樟の大木」

玉若酢命神社(たまわかすのみことじんじゃ)島根・隠岐の島町

八百比丘尼手植えと伝わる「八百杉」

安楽山宮神社(あんらくやまみやじんじゃ)鹿児島・志布志市

推定樹齢1000年の「志布志の大クス」

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