2017.09 陶酔の世界にいざなう 秋の花キンモクセイの芳香

陶酔の世界にいざなう 秋の花キンモクセイの芳香

楊貴妃を陶酔させた花の香り

甘く強い香りで、遠くからでもそれとわかるキンモクセイ。鮮やかなオレンジ色の花が咲くのは9月中旬から10月下旬ごろまでです。

家庭の庭先や公園に植えられる、観賞用の秋の花として日本に根付いていますが、原産は中国。

中国名は丹桂、桂花とも呼ばれ、独特の芳香を活かした茶や酒、御香、菓子、漢方薬と幅広く使われています。

花は開花して3~7日ほどで落花。地面をオレンジ色に染めます。


なかでも桂花陳酒は、花を白ワインで3年間漬け込んだ中国酒として知られており、世界三大美女のひとり、楊貴妃も愛飲していたそうです。キンモクセイの数ある花言葉の中にある「陶酔」。楊貴妃をも陶酔させた、魅惑の香りがする花です。

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大都会東京に秋を知らせる

JR阿佐ヶ谷駅から徒歩2分の場所にある、阿佐ヶ谷神明宮(あさがやしんめいぐう)の境内には、キンモクセイの木が3か所に植えられています。

約3000坪の広さを持つ神社の杜に一歩足を踏み入れれば、都会の喧騒を忘れさせてくれる清々しい空気が漂います。

「杉並のお伊勢さま」と呼ばれる所以は、その昔、伊勢の宮川から持ち帰った霊石が御神体であることから。霊石は今も本殿の奥深くに鎮っています。

キンモクセイの木は西参道の手水舎横、東屋横、手洗い横の3か所に。2本のケヤキが1本につながった夫婦ケヤキや、シイ、クスノキ、カシなどの巨木がうっそうと葉を茂らせるなか、キンモクセイの存在は決して目立つものではありませんが、独特の香りを境内に漂わせ、参拝者に秋の訪れを教えてくれます。

御祭神、天照大御神を祀る本殿(中央)。
東屋横のキンモクセイの木。

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