春よこいこい 天神さまの梅まつり

主を慕って、京から太宰府へ
東風吹かば にほひおこせよ 梅の花
あるじなしとて 春な忘れそ
(春風が吹いたら、香りをその風に託して大宰府まで送り届けてくれ、梅の花よ。主人である私がいないからといって、春を忘れてはならないぞ)
梅をこよなく愛したと伝わる菅原道真公。
天満宮、天神社などに祀られ、学業の神さまとしてよく知られています。
最初に記した歌は、菅原道真が左大臣藤原時平の政略により、大宰府に突如左遷されることとなったときに詠んだもの。

紅梅殿(現在の北菅大臣神社)と呼ばれた菅原家の邸宅には、美しい梅の木があり、無実の罪で京を離れる寂しさを梅に託したものだとされています。
大宰府天満宮(だざいふてんまんぐう)境内の梅の木には、紅梅御殿から一夜にして道真公のもとに飛んできたものだという飛び梅伝説が残されています。
梅の花が美しく咲く様子だけは、都も太宰府も変わらないもの。飛梅伝説は、道真公の晩年が、せめて梅に慰められたものであって欲しいという思いから生まれたものなのかもしれません。