三千年の歴史を持つ信仰の山、筑波山へ 神さまの山へ1日トリップ③

ご神体の山でプチ登山を楽しむ「神さまの山」企画、第三弾は北関東の名峰・筑波山。うららかな春の日の筑波山には、のどかな参道と関東平野を見渡す絶景が待っていました。
1.縁結びにも御利益あり。伊弉諾尊・伊弉冉尊を祀る筑波山へ

神奈川県の大山から始まり、1年に1回、ご神体として崇敬を集める山を訪ねてきた“神さまの山へ1日トリップ”企画。3回目を迎える今回は、日本百名山に数えられる筑波山を登拝してきました。
茨城県にある筑波山は、筑波山神社(つくばさんじんじゃ)がご神体とする山。871mの男体山と877mの女体山の二つの峰には、筑波男大神伊弉諾尊(いざなぎのみこと)、筑波女大神伊弉冊尊(いざなみのみこと)を祀っています。
いざなぎ・いざなみの二柱は、日本神話最初の夫婦。国を生み、神々を生んだ神さまのため、筑波山神社には縁結びや夫婦和合、家内安全、子授け、子育ての御神徳が伝わっています。つくばエクスプレス&シャトルバスを使えば都心からも最短1時間30分でアクセスできるので、縁結びを願っての女子旅やデートで訪れるのもよさそうですね。
2.一の鳥居から続く参道はのどかな景色が楽しい

日本百名山のなかでもっとも低い山、筑波山頂へは男体山へケーブルカー、女体山へロープウェイでのアクセスできるので気楽に登拝することができます。
今回のルートは、まず、筑波山神社を参拝してケーブルカー宮脇駅から男体山頂、女体山頂を目指し、ロープウェイでつつじヶ丘駅へ下山。徒歩で50分ほどかけて筑波山神社周辺に戻ることにしました。
といっても、一般の参拝者や観光客が通るルートだけではおもしろみがないので、観光客はまず行かない筑波山神社の一の鳥居をスタート地点にしてみました。
一の鳥居は、畑や雑木林、広々とした住宅が点在するのどかな景色の中にひっそりと建っています。参道は筑波山に向かうなだらかな坂道で、道の両脇に建つ家々は壁際に石垣が積まれ、庭木に果実が実っていました。振り返れば関東平野の景色が広がり、カフェでも開いたら人気がでそうな古民家もちらほら。歩いて楽しいお散歩コースといった趣でした。
3.筑波山神社から男体山、女体山を巡り 縁結び祈願!

一の鳥居から20分ほど登ると、土産店や旅館が立ち並ぶ筑波山神社前に到着します。筑波山神社は、創建3000年とも伝わる日本屈指の古社。
日本武尊(やまとたけるのみこと)が参拝し、徳川家康から500石の寄進を受け、家光からは社殿を寄贈されるなど、誰でも知っている歴史上の有名人たちから崇敬を受けてきました。
参道を登ると見えてくる社殿群は、家光寄贈というだけあって圧倒されるほど大きく緻密な細工が施されています。神社建築が好きな人なら、この社殿を見るだけでも参拝する価値がありそうです。
参拝後は拝殿の前を左に向かい、ケーブルカー宮脇駅へ。ケーブルカーの全長は1634m。約8分で一気に標高800mの山頂駅まで連れて行ってくれます。
山頂駅を降りると、関東平野を見渡す見晴らしのいい広場、御幸ヶ原に到着。茶屋やお土産屋さんも並ぶこの広場は、男体山と女体山の尾根部分にあり、山頂連絡路の一部になっています。
まずは、山頂駅から近く伊弉諾尊を祀る男体山を目指しましたが、この道が手をついて登るような急な岩場!どうして標高の低い峰が男体山で標高が高い峰が女体山なのか、疑問に思っていましたが、どうやら登る道の険しさによるようです。
なんとか15分ほどでよじ登り、山頂の社で参拝したら次は女体山へ。御幸ヶ原を抜けて山道に入ると、たくさんの人が石を投げる不思議な景色に遭遇。ガマ石という看板があるこの石は、口の中に石を投げ入れるとお金持ちになると伝えられているそうです。
4.女体山山頂は、日常を忘れる絶景!


女体山への道はゆるやかで気持ちのいい登山道。御幸ヶ原から15分ほどで女体山山頂の社が見えてきます。女体山の伊弉冉尊に良縁を願ってからふと社の後ろを見ると、思わず「すごい!」と声をあげるほどの絶景が広がっていました。
大きな岩が途切れた先は、遙か下界に平野が広がり、思わず足がすくむほどの断崖。岩の上に建てば男体山の山頂も見渡す360度の大パノラマ。周囲に高い山がないせいか、地球の丸さが感じられる素晴らしい景色でした。
二つの峰での絶景を眺め、良縁祈願をすませたあとは、ケーブルカーで下山。つつじヶ丘駅から車を停めた筑波山神社のそばまでは、スニーカーでも歩けそうなきちんと整地された登山道です。木漏れ日も気持ちいいゆるやかな下り坂をのんびり歩いて戻りました。
お茶を飲んだり、ところどころで休憩したりと、のんびりした登拝の所要時間は3時間半ほど。15時までなら、周辺の旅館の温泉も利用できるので、関東平野を見渡す露天風呂で疲れを癒やすのもよさそうです。