秋の香り、キンモクセイ

甘い香りで秋の深まりを告げる

残暑がやわらぎ、ひんやりとした空気が本格的な秋の訪れを感じさせてくれる9月下旬から10月上旬。澄み渡る空も心地よい季節に、キンモクセイは開花を迎えます。
華やかで芳醇な香りは、日本の秋を象徴するものと思われがちですが、キンモクセイが日本で広まったのは江戸時代になってから。
中国南部が原産で、中国ではとても古くから愛されてきました。かぐわしい香りは、日本でも珍重され、庭木として広がっていきました。
キンモクセイは、大気汚染に弱いため、排気ガスがかかる道路沿いなどでは花をつけないこともあります。そして、花木の中でも特に開花時期が短いので、香りが楽しめるのはごくわずかな期間。強い風が吹けば、はらはらと散ってしまい、地面をオレンジに染め上げます。
1年に1度のはかない花を楽しみに、秋の香りを探しにおでかけしてみてはいかがでしょうか。
熊野速玉大社のキンモクセイ

庭木などのキンモクセイは、3~6m程度の中低木ですが、見事な大木に成長したものもあります。
そのうちの1本が、和歌山県新宮市の熊野速玉大社(くまのはやたまたいしゃ)にあるもの。
境内には何本かのキンモクセイがありますが、駐車場脇にあるキンモクセイは、見上げるばかりの大きさ。
10mもの高さに見事に成長し、こんもりと豊かな葉に覆われています。
開花の季節が訪れると、境内はキンモクセイの香りに包まれるよう。この時期に神社へ訪れれば、甘い香りを心ゆくまで楽しむことができるでしょう。