ニッポントラディショナルな大人の秋祭り

エネルギッシュなけんか祭りから、暗闇のなかで行われる夜祭りまで、秋はお祭りが一番盛り上がる季節。トラディショナルなニッポンの魅力を再発見しに、秋祭りへでかけましょう!
1.暗闇で行われる神秘的な祈りの儀式


鷲子山の夜祭り/鷲子山上神社
(とりのこさんしょうじんじゃ/栃木・那珂川町)
11月第3土曜日
霊峰・鷲子山の山頂に建つ鷲子山上神社の秋祭りは、古来のしきたりに従い夜行われます。
スタートは、夕闇が訪れる夕方5時30分。神職が本宮から降りてきたあと、境内にあるご神木、千年杉の前に氏子が作ってきたお餅とお酒をお供えする儀式が祭りの一番の見どころです。静まりかえった参列者のなか提灯の光りだけの暗闇で祝詞があげられるときには「張り詰めるような神聖な空気が訪れる」と、宮司さんが教えてくれました。夜祭りで行われる行事や作法は、現代では見られないはるか昔の祭りの形式で、宗教学や民俗学上の貴重な研究対象にもなっているそうです。
神さまに供えられたお酒やお餅は、栗の木のお皿に載せて参列者へ授けられます。これは、神さまと人が食事を共にする「神人共食」という特に珍しい儀式だそう。安産祈願で妊婦さんへ、治癒を願い病気の方へと持ち帰る方もいる、ご利益のある饗膳とされています。
饗膳に限りがあるため、問い合わせてからでかけましょう。
2.太鼓の音とともに重さ2tの屋台が激突!


飯坂けんか祭り/飯坂八幡神社
(いいさかはちまんじんじゃ/福島・福島市)
10月第1土曜を中心とした3日間
毎年、キンモクセイの花が咲く季節になると、飯坂の小さな温泉町はお祭への期待感で静かな興奮に包まれます。
大阪・岸和田の地車祭り、秋田・角館の飾山ばやしとともに「日本三大けんか祭り」と呼ばれ、飯坂八幡神社の氏子が支え続けてきた奇祭が、飯坂けんか祭り。
太鼓屋台と呼ばれる山車は、重さ2t。がっしりと作られた太鼓屋台は、担ぎ手、屋台の下に入る太鼓隊、屋根の上に登る頭と呼ばれる指揮者で構成されます。
けんか祭りの由縁となる宮入は2日目の土曜日。神社の境内で6町の屋台が、担ぎ手の声とともに激しくぶつかり合う様は、観客も熱気にあおられる迫力!押し戻されるか太鼓の音が途切れると、その屋台は負けと言われているため、担ぎ手も太鼓隊も必死。「押せ!押せ!」の声とともに提灯がふっとび火の粉が散ることもあるそうです。
熱い戦いを見たい人はぜひ訪れてみてください。
3.平安時代の雅な宮中行事

曲水の宴/城南宮
(じょうなんぐう/京都・伏見区)
11月3日
木漏れ日もやわらかな平安の庭を舞台に、ゆるやかに流れる小川のかたわらで詩歌を作り、盃をめぐらす。中国の古代、周公の時代に始まったとされる曲水の宴は、奈良時代から平安時代中期まで宮中の年中行事として行われていました。
現在、城南宮では4月29日と11月3日、春と秋の平安の庭を舞台にこの雅な行事が行われています。
曲水の宴は、色とりどりの平安時代の貴族の装束に身を包んだ男女の歌人と水干(すいかん)姿の童子の登場から始まります。川上に控えた童子が、羽觴(うしょう)というおしどりの姿をかたどった盃台の背に御神酒の入った盃を載せて川へ流すと、川下にいる歌人が、羽觴が流れてくるまでに和歌を短冊にしたため、流れてくる盃をとる。優雅な遊び心にあふれた行事です。宴の間には白拍子の舞も披露され、見物に訪れればゆったりと時間が流れる王朝の雅に迷い込んだような気分になれそうです。
ちなみに、9月1日~9日(重陽の節供)の10時~、正五九神楽という行事もおこなわれています。菊の花を手にして巫女さんが舞う雅やかな神楽なので、初秋の朝に散歩がてら訪れてみてはいかがでしょうか?
4.どこ行く?秋祭り

10月17日
百物揃千人武者行列
1200人の武者が織りなす壮大な時代絵巻

11月21日
舞楽祭
雅楽に合わせた舞を舞殿で披露

9月22日
観月祭
雅楽の調べのなかお月見を楽しむ

9月11日~21日
だらだら祭り
“だらだら”続く10日間の祭り

9月19日~21日
例大祭
六代将軍が定めた江戸の三大祭り

9月27日・28日
秋祭り・くり祭
約260本の行灯のなか行われる幽玄な神事