梅雨のなかでも鮮やかに咲き誇る花菖蒲。
花菖蒲は日本原産で、江戸時代から園芸品種の育成がさかんになりました。江戸の堀切(葛飾区)には、菖蒲園が複数でき、浮世絵にも描かれたことからも当時の花菖蒲熱がうかがえます。
それからも花菖蒲の品種改良は続けられ、現在はおよそ2000もの種類があるといわれています。海外にも伝わり、日本に逆輸入される品種も出るなど、日本が誇る伝統品種になっています。
開花は、5月下旬から6月頃。白や紫、山吹色など、爽やかな花の色は、一服の清涼剤のようにムシムシした季節に涼しさを届けてくれそうですね。
お城の城壁と花菖蒲、そして同時期に開花を迎えるアジサイも見ることができるのが小田原城址公園。約1万株の花菖蒲に加え2500株のアジサイも植えられ、開花シーズンには、「小田原城あじさい花菖蒲まつり」も開催。キッチンカーが出店したり、ライトアップがあったりと初夏の訪れを楽しむイベントが多数催されています。
花菖蒲とアジサイ、お祭りのムードを楽しんだら、小田原城内の報徳二宮神社(ほうとくにのみやじんじゃ)へも立ち寄ってみましょう。
御祭神は幼名二宮金次郎で知られる二宮尊徳翁。尊徳翁は、農家の生まれで苦学した後、小田原藩家老服部家の財政再建をはじめ、600以上の村の農村復興事業を行い多くの人を救いました。
城内の神社といえば、城主やそれに近しい位の人物が祀られることが多いもの。
農民の出でありながら、神さまになるほどの偉業を遂げられた人物なのです。
境内には、オープンカフェもあり緑のなかでゆったり休むこともできます。「きんじろうカフェ」には、尊徳翁が食べていたという「呉汁」や、小田原ゆかりのスイーツをいただくことも。
小田原城見物に、花菖蒲散策、そして神社で参拝と一服すれば、初夏のひととき、充実した休日を過ごせそうですね。