暑い夏に清涼感をもたらしてくれるムクゲ。ハイビスカスに似た一重咲きのほか、半八重咲き、八重咲きとさまざまな花形があります。赤紫や青紫、ピンク、白と豊富なカラーバリエーションも魅力です。丈夫で育てやすく、手をかけなくてもたくさんの花を咲かせることもあり、日本でも古くから庭木や生け垣として栽培されてきました。
原産は中国ですが、平安時代初期にはすでに日本に渡来していたようです。9世紀の新羅は自らを「ムクゲの国」とも呼んでいました。散っては咲きを繰り返し、長期間花を咲かせることから、ムクゲは韓国を代表する花として今も愛されています。
人面が刻まれた魔除けの柱が目を引く、埼玉県日高市の高麗神社(こまじんじゃ)。参拝者を出迎えるようにそびえ立つこの印象的な柱は、「チャンスン」という朝鮮半島に伝わるものです。なぜ神社に朝鮮半島に伝わる魔除けの柱があるのかというと、それはこの神社が、古代朝鮮半島の「高句麗(こうくり)」と深い関わりがあったから。唐と組んだ新羅に敗れた高句麗の人々のなかには、海を渡って日本に来た人々もたくさんいました。大和朝廷は、その人々を武蔵国に集め、高麗郡を創設。高句麗の人々は、大陸の優れた技術や文化を日本に伝えたといわれています。この高麗郡のリーダーとなった人が高句麗からの渡来人・高麗王若光(こまのこきしじゃっこう)です。高麗神社では、この高麗王若光をお祀りしています。
韓国と深い縁があり、韓国からの参拝者の多い高麗神社では、ムクゲの花をとても大切にしています。毎年夏になると、白や紫、ピンクなどさまざまな色のムクゲがたくさん花を咲かせ、境内が華やぎます。
高麗神社では御朱印をいただくと、参拝時期に境内で見られる草木の印をおしていただけるのですが、こちらも7月はムクゲの花に。草木の印は1月と11月は2種類あり、全部で14種類あります。御朱印の変化で四季の移り変わりを感じられ、参拝者の楽しみのひとつになっています。