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特集 vol.306
一度は行きたい
一宮さんぽ〜北陸編@
今回ご紹介するのは、万葉の時代から鎮座していたという能登国の一宮、気多大社。「氣」が多く集まるといわれる神社の魅力をレポートします。

気多大社の「氣」を感じに能登半島を北上


その名前から「氣」が多く集まる神社として、縁結びのパワースポットとしても知られ、全国からも参拝者が訪れているのが、能登国の一宮、気多大社(けたたいしゃ)です。

創建は天平13年(741年)。能登国がまだ越中国の一部だった時代も、越中国の一宮だった由緒ある神社です。さらに、神社から800mの場所に発見された遺跡では、大規模な祭祀関係の出土品や遺構が発掘され、気多大社との関係が推測されているのだとか。
生け捕った鵜の動きで翌年の吉凶を占う古式ゆかしい神事「鵜祭」や加賀藩も保護した「入らずの森」と呼ばれる聖域もあるそう。

そして、拝殿、本殿、神門など国指定重要文化財のオンパレード。「入らずの森」も原始の森を維持していることなどから国の天然記念物となっていて期待が高まります。


空から見た気多大社。社殿の背後にこんもりと広がるのが「入らずの森」。
写真提供/気多大社

神社があるのは、金沢から車で1時間ほどの場所。能登半島の西側を日本海の絶景を見ながら北上すると里山らしい景色に変わった先に、大きな鳥居が見えてきます。


前田利家とまつが祈願した縁結びの神さまに参拝


鳥居の横には、「国幣大社気多大社」と刻まれた石標が。国幣大社とは神社の社格のこと。平安時代の延喜式では名神大社とされ、その後明治時代に国幣大社となりました。


木製の両部鳥居と社名が刻まれた石標が。

鳥居からはまっすぐ神門へ続く参道が。周囲にはこんもりとした森が見えますが、参道は広く、海からの風も感じられるような心地よい空気感が漂い、確かに良い「氣」が集まっている場所にいるのかもしれません。

神門の先では、ついに拝殿とご対面。承応2年(1653年)から翌年にかけて建立されたそうなので、370年もの歴史があることになります。
檜の樹皮で葺いた桧皮葺(ひわだぶき)の屋根も、屋根を支える木造部分も日本海の風雨に洗われたような美しさ。歴史を感じながら、御祭神の大己貴命(おおなむちのみこと)にご挨拶させていただきました。

ちなみに大己貴命は、縁結びの社として知られる出雲大社(いずもおおやしろ)に祀られる大国主大神(おおくにぬしのおおかみ)と同じ神さま。
また、加賀百万石を二人三脚で築いた前田利家とまつも参拝したこともあり、気多大社は縁結びを願う女性たちに大人気。当日も、若い女性たちが2人、3人と連れ立って参拝している様子が見られました。


荘厳な趣の拝殿は国の重要文化財に指定されています。

自然のエネルギーを感じる「入らずの森」


拝殿を右に進むと1万坪におよぶ「入らずの森」の入り口が。400年以上前から立ち入りできない聖域として守られて、その奥に人が立ち入るのは年に1回の神事のみ。神事に向かう神職も目隠しをするなどの祭祀を守らなければならないとされています。
入り口から奥を見ると、原始の植生がそのままに残っている様子が見てとれます。一緒に行った知人は樹木医の資格を持っているのですが「こんなところにこんな木が」と大興奮。森の強い香りと聖域のエネルギーを浴びられるので、参拝する方は、拝殿でUターンせずにぜひ森へ進み遥拝してみてください。


鳥居の先は禁足地。鳥居に向かい奥宮へ遥拝します。

清らかな森の「願い石」で幸せを祈願


立ち入りできる森の中には、占いと神事の神さま天太玉命(あめのふとだまのみこと)を御祭神とした太玉神社が鎮まっています。そして、その手前には今回の参拝のお目当てのひとつ「願い石」がありました。


「むすび神苑」と書かれた石が願い石。願いを込めたたくさんの小石が載せられています。

苔むした巨石「願い石」は、周囲の小石を拾って、この大きな石に載せると幸せになると伝えられているそう。先に置かれた石を落とすと人さまの幸せも落としてしまいそうなので、そーっと小石を載せ、幸せを祈願しました。

最後に社務所に寄ってみると御祭神の因幡の白兎の神話にちなんだ、うさぎのおみくじを発見。素朴な素焼きが、かわいらしさ満点です。
ほかにも住所、名前を書くと毎日本殿でお祓いしていただけるお守りや、恋人だけでなく友人や仕事関係などの良縁を結んでくれる心むすび絵馬など、魅力的な授与品がたくさんあるので、お帰りの前にチェックしてみるのがおすすめです。


持ち帰って飾りたくなる、愛らしいうさぎのおみくじ。