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特集 vol.292
神話の神社を歩く
〜天孫降臨編
いよいよ天津神が地上へと降臨。そのストーリーに登場する、ミステリアスなアイテムとは?天孫降臨の候補地とは?本編でご紹介します!

天孫は布団にくるまれて地上へと向かう


アマテラスの命でおこなわれた、葦原中国平定の一大プロジェクト。高天原の使者が次々寝返ってしまうなど、紆余曲折を経たもののオオクニヌシが国譲りに同意したため、いよいよ地上である葦原中国を治める神さまを派遣することになりました。
抜擢されたのは、アマテラスの孫に当たるニニギ。アマテラスは長男のアメノオシホミミに任せるつもりでしたが、アメノオシホミミに子ども(ニニギ)が生まれたため、天孫が天降り(あまくだり)することになりました。

『日本書紀』の一書では、「ニニギは真床追衾(まとこおうふすま)を着せられた」とサラッと書かれていますが、この「真床追衾」は、実は神話の重要なキーアイテム。
このあとの神話でも幾度か登場して、天孫(皇孫)であることを証明するものとなっているのです。
さらに、現代の天皇即位のための神事、大嘗祭でも皇太子が「御衾」という寝具で一度横になるという儀式があり、この「御衾」が「真床追衾」であるという説もあります。


ニニギが授けられた三種の神器


「真床追衾」に加え、ニニギが天降るときに与えられたさらに重要なアイテムがあります。それは、誰もが聞いたことのある「三種の神器」。
天岩戸に隠れたアマテラスを誘い出すためにつくられた「八咫鏡(やたのかがみ)」と「八尺瓊勾玉(やさかにのまがたま)」(勾玉は異伝あり)、スサノヲがヤマタノオロチを斬ったときに蛇の体内から出てきた「天叢雲剣(あめのむらくものつるぎ、草薙剣)」です。

ニニギが三種の神器を携えて地上への道を歩もうとしたところ、その先に道を照らす神さまがいることに気づきます。お供のアメノウズメが名前を尋ねたところ、サルタヒコと名乗り、天孫を道案内しようと出迎えたということです。道案内役を得たおかげで、ニニギ一行は無事に地上の「日向の高千穂の峰」に降り立つことができました。


天孫降臨の候補地のひとつは霧島連山の主峰、高千穂峰。

天孫降臨の候補地は九州にあり!?


高千穂の峰とされる場所は、九州に10か所ほどあります。なかでも、宮崎県と鹿児島県の県境にある霧島連山の高千穂峰の頂上には、国家の安定を願ってニニギが突き立てたとも、イザナギ、イザナミが突き立てたともいわれる天逆鉾(あまのさかほこ)が残されています。
ここは、高千穂峰への中腹にある霧島東神社(きりしまひがしじんじゃ)の飛地境内で、天逆鉾は社宝として祀られているもの。残念ながら度重なる火山の噴火で折れてしまい、現在見られるのは模造品だといわれていますが、神話を感じられるスポットとして今なお多くの人が訪れています。


霧島連山の高千穂峡に祀られた天逆鉾。地上に出ている部分は作り変えられていますが地中に残っているのは突き刺された当時のそのものだといわれています。

天孫降臨後、サルタヒコは、アメノウズメに送られてもといた伊勢の五十鈴川に戻ることに。伊勢神宮のそばにある、猿田彦神社(さるたひこじんじゃ)には、2柱が祀られ、万事良い方に導いてくれる「みひらきの大神」として崇敬を集めています。


学業や仕事をいい方向へと導いてくれるご利益が伝わる猿田彦神社。猿田彦大神の直系の子孫である宇治土公家が代々宮司を努めています。

【次のお話、「神話の神社を歩く 〜天孫ニニギの結婚編」はこちら】