新年の招福を願う参拝者で境内は大賑わい。屋台が立ち並び、お祭り気分も楽しめる冬の神社の貴重なイベントが「酉の市」「おかめ市」「十日えびす」です。
いずれも、招福を願う縁起物の露天が立ち並んだり、授与品をいただけるという共通点がありますが、どのような違いがあるのでしょうか?
おもな違いは、開催時季と、縁起物の内容にあります。
「酉の市」は、東京を中心に全国のヤマトタケルノミコトを祀る神社や鳥や鷲にゆかりの神社で11月の酉の日におこなわれる市。
埼玉の神社では、「酉の市」を「おかめ市」と言い換えて12月に開催されています。一方「十日戎」は、1月10日の戎神(えびすしん)の祭。主に西日本で開催されています。
「酉の市」「おかめ市」では、“福をかっこむ”とされる熊手に小判や七福神、稲穂などの縁起物をつけた「縁起熊手」が露天商で販売されるのが定番。
「十日戎」は、神社で笹に縁起物をつけた「福笹」が授与されるという違いがあります。
酉の市の定番の風景といえば、縁起熊手を売る露天がずらっと並び、そこかしこで熊手購入者と露天商のあいだで交わされる威勢のいい三本締め。小さなものなら3000円程度から購入可能なので、酉の市に行ったら商売繁盛と福を願って購入し家に飾りたいところです。
数ある「酉の市」のなかでも、最大規模のにぎわいを見せるのは浅草の鷲神社(おおとりじんじゃ)でおこなわれる浅草酉の市。隣接する酉の寺・長國寺でも開催されるため、神社とお寺の二社参りができることでも知られています。例年の来場者数は80万人と、「酉の市」のなかでも最多。2020年と今年2021年はコロナ禍のため、予約制で来場者数がおさえられていますので、例年よりはゆっくりと熊手を選ぶことができそうです。
浅草酉の市でおすすめの見どころは、有名人や有名企業が予約注文している巨大熊手ウォッチング。ご本人が引き取りに来られることが多いので、運が良ければ有名人に会うこともできます。
ほかにも、東京新宿区の花園神社(はなぞのじんじゃ)、東京府中市の大國魂神社(おおくにたまじんじゃ)など、多数の酉の市が開催されています。
埼玉県の川口市にある川口神社(かわぐちじんじゃ)、鳩ケ谷氷川神社(はとがやひかわじんじゃ)、越谷市の香取神社(かとりじんじゃ)などでおこなわれる「おかめ市」。「酉の市」が「おかめ市」と呼ばれるようになったのは、熊手に縁起物のおかめの面をつけて売ることが多かったからだといわれています。
「酉の市」は一般的に11月の酉の日の開催ですが、「おかめ市」の開催日は、神社によりまちまち。川口神社は12月15日、鳩ヶ谷氷川神社は12月23日、香取神社は12月2日の開催となっています。
特ににぎわいを見せるのが川口神社の「おかめ市」。川口駅から神社までのあいだに300もの露天が並び、川口の街全体がお祭りムードに包まれます。2020年に続き2021年も、露天は境内のみとなり規模を縮小しての開催となりますが、市のにぎやかな雰囲気は健在です。歳末の一大行事を楽しみにでかけてみましょう。
「十日戎」はえびす神が祀られている神社の1月10日を挟んで9日〜11日の残り福まで3日間にわたるでおこなわれる祭事です。開催する神社が多いのは、大阪と兵庫。特に有名なのは兵庫の西宮市にある西宮神社(にしのみやじんじゃ)や大阪市の今宮戎神社(いまみやえびすじんじゃ)です。
西宮神社はえびす宮の総本社であり、「十日えびす」の早朝、開門時におこなわれる福男選びでも有名です(熱気あふれる福男選びのレポートは、リンクからぜひご覧ください)。もちろん「十日えびす」も華やかで西宮駅周辺は広範囲で交通規制がおこなわれ、露天が立ち並び大いににぎわいます。
一方、今宮戎神社で注目なのが「商売繁盛で笹持ってこい」のお囃子と福娘。境内に入るとグルービーな「商売繁盛で〜」がエンドレスにリピートされ、まるで異世界に来てしまったよう。笹に縁起物(十日戎では「吉兆」といいます)をつける福娘は、美しい女性ばかり。福娘になるためには、数十倍といわれる倍率から選出されなければならず、福娘卒業生はテレビ局のアナウンサーを多出することでも知られているので納得ですね。福娘は、単に美しくかわいいだけでなく、周囲がパッと明るくなるような笑顔がすてきな女性が多い印象です。吉兆をつけてもらう際にはついこちらも笑顔になってしまうので、まさに「福のお裾分け」状態に。
なお、そのほかの「十日戎」でも笹を授与してくださる女性は、圧倒的に美しい方が多いので、年始の眼福を楽しみに参拝するのもおすすめです。