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特集 vol.277
願いをこめて書きたい!
ユニークな絵馬のある神社
〜関東編@
神社によって、用意されている絵馬の種類はさまざまです。なかには個性が光る斬新なデザインも。今回は、関東エリアで奉納できるユニーク絵馬をご紹介します。

【東京・品川区/居木神社】
「厄」を落として、気分スッキリ!


最初にご紹介するのは、個性あふれる絵馬が揃う居木神社(いるぎじんじゃ)。ビジネスマンが行き交うJR大崎駅から徒歩3分、駅のそばとは思えない閑静な住宅街のなかにある神社です。江戸初期までは目黒川沿いに鎮座していましたが、氾濫による水害を避けるため、現在の高台へ遷座されたそう。その際、付近の住民も移り住み、居木神社を中心に新しい村づくりが行われたと伝えられています。古くから地域の人々の守り神として親しまれていたことがうかがえるエピソードですね。


春は桜と社殿の見事なコラボレーションを堪能できます。

ユニークな絵馬の多い居木神社ですが、なかでも有名なのは厄落とし絵馬。
「厄」の型抜き文字を押し出して「落とし」てから奉納する絵馬です。ほかにも「八」「鬼」「病」「災」の文字があり、厄除祈願だけでなく、八方塞がり除祈願、鬼門除祈願、病門除祈願、災難除祈願ができます。文字が抜けるときのスポッという感覚がなんとも爽快です。


型抜き文字は、用意されている箱の中へ落とします。自分の手で「厄」を落として、心もスッキリ!

型抜きタイプの絵馬は、「落とす」ものだけではありません。ハートの中の「縁結」の文字を「射抜く」、えんむすび絵馬もあり、こちらも人気。御祭神の1柱は縁結びの神さま・大國主命(おおくにぬしのみこと)なので、その御神徳を求めて参拝する人も多いのです。
いずれの絵馬も、文字を抜いたら絵馬かけに奉納して祈願します。


祈願ごとに色が違うので、絵馬かけもカラフルに。

さらに、裏に小さな扉がついている開運招福祈願絵馬も授与されています。願いを込めて扉を開くと、そこには縁起のよいメッセージが。明るい未来がひらけそうな気分を味わえるので、2021年度の開運を願う人は願掛けしてみてはいかがでしょうか?


【東京・杉並区/気象神社(氷川神社)】
映画「天気の子」にも登場した下駄の形の絵馬


次にご紹介するのは、個性豊かなサブカルの街・高円寺にある氷川神社(ひかわじんじゃ)。こちらの神社の境内には、日本で唯一の気象神社(きしょうじんじゃ)があります。むかし子どもたちが、投げ落とした下駄の表裏で天気を占って遊んでいたことにちなみ、下駄形の絵馬を奉納できます。


旅行や結婚式の晴天祈願のほか、気象予報士試験の合格祈願に訪れる人も多いそうです。

気象神社は、かつて陸軍気象部にあったそうです。軍にとって、気象要件は戦略・作戦を練るために重要です。そんな軍の気象観測員が、予報的中を祈願し、心の拠りどころにしていたのが気象神社でした。戦後の神道指令で撤去されるはずでしたが、調査漏れにより残存。それを知った当時の高円寺氷川神社宮司が受け入れを決意し、この地に遷座されました。
祀られているのは、八意思兼命(やごころおもいかねのみこと)。天の岩戸にお隠れになった太陽神・天照大御神(あまてらすおおみかみ)を誘い出すアイデアを提案した、知恵の神さまです。「太陽を取り戻した」この御功績から、気象の神さまともいわれるように。晴、曇、雨、雪、雷、風、霜、霧という8つの気象条件を司り、気象に関するあらゆる願い事を叶えてくださる神さまとして信仰されています。


おもに法人や団体向けに、晴天祈願などの気象にまつわる各種ご祈祷もおこなっています。

気象神社には、下駄絵馬の他にも天気にまつわるユニークな授与品がたくさんあります。太陽が刺繍されている「晴守り」やてるてる坊主の形のおみくじ「照照みくじ」など、見た目もかわいい授与品は特に人気があるようです。


青空とおひさまをモチーフにしたかわいい晴守りで、脱・雨女&雨男!照照みくじは願い事別に8色。顔を描いたりお願い事を書いたりできます。

照照みくじは大切に持って帰ってもOKですが、境内のみくじかけに奉納することもできます。

【神奈川・座間市/座間神社】
動物の神さまに、ペットの健康と幸せを祈願


3つ目にご紹介するのは、JR相武台駅から徒歩5分、米軍座間キャンプのとなりにある座間神社(ざまじんじゃ)。桜の名所で四季折々の草花が咲き乱れる座間公園に隣接し、景観がよいことでも知られています。


創建のきっかけになった湧き水は健康長寿や病気平癒の御利益がある御神水といわれ、今も多くの人がお水取りに訪れます。

そんな座間神社の裏手にある伊奴寝子社(いぬねこしゃ)は、動物の守り神。愛猫・愛犬の似顔絵を描いて奉納できる絵馬が、ペットの健康祈願に人気です。


奉納されているペット絵馬は、飼い主の愛情がたっぷりこもった力作ぞろいです。写真には映っていませんが、猫の形の絵馬もあります。

伊奴寝子社は、境内社(寄宮)のひとつだった「蚕神社(かいこじんじゃ)」がもとになっています。かつて養蚕や畜産が盛んだった時代に、家畜などの生き物を疫病から守る神さまとして祀られていましたが、養蚕の衰退とともに廃れてしまっていました。復活のきっかけになったのは、子犬を連れた参拝者の「ここには動物を守ってくださる神さまがいらっしゃるのですよね、この子の健康を願いにきました」という言葉だったそう。家族の一員としてペットを愛する人々のため、社名もわかりやすく「いぬねこ」社に変更。「いぬねこ」としているものの、広く動物全般をお守りくださる神さまなので、全国からさまざまなペットの健康や幸せを願う人々が参拝に訪れています。
伊奴寝子社は動物の守り神。授与所でペット用のお守りをいただくことができるだけでなく、ご祈祷を受けることも可能です。ペット専用の肩掛けを着けて祝詞をあげていただくことができ、ペット祈願札も授与していただけます。


伊奴寝子社の鳥居をくぐると、参道の右側に犬、左側に猫の石座像が、向かい合うように配され、正面にはこぢんまりとしたお社があります。