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特集 vol.268
意外と知らない!?
初詣のトリビア
お正月に欠かせないイベント、初詣。あまりに身近すぎて、かえって知らないことも多いのではないでしょうか?今回は、そんな初詣のナゾに迫ります。

そもそも初詣って!?


ニッポンらしいイベントのひとつ、初詣。多くの人が社寺を参拝し、1年間無事に過ごせた感謝と新年の幸せを祈ります。古くからの日本の伝統行事と思われがちですが、実は「初詣」は新しいものだそうです。
大國魂神社の方に、初詣について教えていただきました。
「初詣のルーツはかつて年ごもりといわれていた風習で、大晦日の夜から元旦の朝にかけて家長が氏神神社にこもって夜通し祈願するものでした。年ごもりは、飲食や行動を慎み、心身を清める斎戒(さいかい)としての意味合いが強いものです。静かに過ごして気を正したのちに、歳神さまからのお下がりである「おせち料理」をいただいてから、住んでいる地域を守っている氏神さまや恵方にある神社にお参りをしていました。現在の初詣は、鉄道の発展とともに広まったものですので、レジャーに近い性質のものといえるのではないでしょうか。」


願い事は事前にしっかりと決めておいてから参拝するのがスマートです。
(C)写真AC 灘 伏見さん

新型コロナウイルス感染症が流行中ということもあり、2020〜2021年の年末年始は各神社で分散しての参拝を呼びかけています。大國魂神社でも、干支縁起物の頒布を12月26日に前倒しして始めるそうです。
「縁起物は年内から授与いたしますので、初詣は混雑を避けてお越しいただければと思います。初詣のルーツとなった昔からの風習にならって、年内は家にこもって過ごし、年が明けてから静かにお参りをされてはいかがでしょうか。古のお正月に思いをはせて、氏神さまや恵方にある神社への参拝をするのもよいと思います。」とすすめてくださいました。
2021年の恵方は南南東です。自宅の南南東にある神社を探してみてはいかがでしょうか。


初詣はいつまでに行けばいいの?


お正月になると各々の家にいらっしゃる歳神さま(年神さまとも)。「五穀豊穣と子孫繁栄をもたらしてくれる神さま」と考えられています。お正月に欠かせない門松や鏡餅などは、歳神さまをお迎えするためのものです。


幸福を授けにお越しになる歳神さまが宿る、鏡餅。お供えのあとは餅を割って食べると健康な一年を過ごせるといわれています。
(C)写真AC 悠貴さん

初詣は歳神さまのいらっしゃる松の内までに行くのがよいともいわれるようですが、ここで疑問がわいてきました。歳神さまは家に来てくださるのだし、神社にはそれぞれの御祭神がいらっしゃるのに、いったいなぜ歳神さまのいらっしゃる期間に初詣に行くのがよいのでしょう?大國魂神社の方に質問してみました。
「神主によって見解はさまざまかと思いますが、私は初詣の時期にこだわる必要はないのではと考えています。新年を迎え、神さまにご挨拶に伺うという気持ちで参拝するのなら、いつでもよいのではないでしょうか。
古来より日本人は季節の移ろいや節目を大切にしていますので、そういう意味では、初詣も春が終わる前までにすませるのがのぞましいかもしれません。」
参拝する時期よりも神さまに感謝する心が重要、ということですね。


「ゆったり初詣」のベストタイミングは?


「初詣には行きたいけれど、混雑は苦手」という人も多いと思います。そこで大國魂神社の方に、ゆったりと落ち着いて参拝できそうなタイミングを伺ってみました。
「人出が減るのは松の内が明けてからですね。とはいえ、一月の土日はやはり混雑します。時間帯としては早朝8時前が空いています。三が日でも並ばずに参拝できますよ。」と教えてくださいました。ただし神社によっては、早朝はまだ社務所があいていないことも少なくありません。お守りなどの授与品を受けられない可能性もありますのでご注意を。さらに新型コロナウイルス感染症の流行から、2020〜2021年の年末年始は開閉門時間を変更している神社が少なくありません。初詣の際は、公式サイトなどで確認してからお出かけください。


武蔵国の一之宮から六之宮までを合わせて祀る大國魂神社には、毎年多くの人々が初詣に訪れます。

初詣で気になること、アレコレ


最後に「初詣でやりがちだけど、コレって大丈夫!?」と気になっていたことを、大國魂神社の方に質問してみました。
まずは願い事について。「健康に過ごせますように」「試験に合格しますように」など、複数の願い事をしたいことも度々あるのですが、願い事はひとつに絞らないといけないのでしょうか?
「いいえ、複数のお願いをすることは全く問題ありません。ただしお願いの前に、日頃の感謝の心をしっかり伝えましょう。」

近所の氏神さまにお参りしてから帰省したら、帰省先でも初詣に誘われた!なんていうことも、よくあるケースだと思います。1日に複数の神社へ参拝するのは、神さまに失礼なのでしょうか?
「そんなことはありません。神さまは、広い心で見守っていてくださいます。同じ日に、違う御祭神のいらっしゃる神社を参拝したからといって気になさらないはずですよ。」

では、おみくじはどうでしょう?複数の神社に参拝した場合、すべての神社で引いてもよいのでしょうか?
「おみくじは神さまのご神意を占うものです。かつて占いはとても重要視されていました。神聖なものですので、あちこちの神社で参拝のたびに、運試しのように気軽に引くというのはおすすめできません。ただし、新年におみくじを引いた年でも、節目節目であらためておみくじを引くことはまったく問題ありません。“今年の運勢を占うため新年におみくじを引いたけれど、今悩み事があるのでその道標がほしい“という場合にはぜひ占って神さまからのメッセージに耳を傾けてみてください。」

これまでやっていいのかダメなのか、気がかりだったことをスッキリ解消できました。お話を聞かせてくださった大國魂神社の方、どうもありがとうございました。


ひいたおみくじは持ち帰り、折にふれて度々読み返すのがよいそうです。
(C)写真AC 灘 伏見さん