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特集 vol.262
マイナスイオンたっぷり!
巨木のご神木がある神社
数百年、数千年にわたり生き続ける巨木には、深い歴史とともに強い生命力を感じますよね。神宿るご神木ならなおのこと。マイナスイオンとともにその秘めた力を分けてもらいましょう。

【静岡・熱海市/來宮神社】
樹齢2000年の大楠は
一周で一年延命&心願成就のパワースポット


来福・縁起の神さまとして信仰される來宮神社(きのみやじんじゃ)には、樹齢2000年の大楠が圧倒的な風格と神秘性をたたえて佇んでいます。高さ26m、幹周りは24mあり本州最大。江戸時代末期までこの神社は「木宮神社」と名乗っていたことからも、この地の人々がこの木に神さまを見出し、信仰したのがわかります。これまでにも伐採の危機や天変地異などさまざまな苦難を乗り越えてきた大楠。幹のまわりを一周すると命が一年延び、心に願いを秘めて一周すると叶うといわれています。パワースポットとして年々人気が高まり、参拝者も増え続けています。


ご神木の第一大楠。境内には楠がもともと7本ありましたが、残念ながら5本は伐採されてしまいました。ほかにも第二大楠があり、落雷の跡が痛々しく残るものの力強く枝を伸ばしています。

來宮神社の創建は1300年前、奈良時代にまでさかのぼります。熱海湾で漁をする漁夫の網に木像がかかり、不思議に思っていると子どもが現れて五十猛命(いたけるのみこと)を名乗ったそうです。そして「波の音の聞こえない7本の楠がある洞に私を祀れば、その地の人々や旅人を守護する」と告げたとか。五十猛命は樹木と自然保護の神さま。きっとこの大楠に宿っていることでしょう。
日が暮れると、境内をライトアップする「Kodamaプロジェクト」が行われます。大楠周辺には木霊(こだま)が現れたような神々しさが漂います。


こちらは本殿。五十猛命に並び、大巳貴命(おおなもちのみこと)、日本武尊(やまとたけるのみこと)も祀られ、商売繁盛や良縁、開運招福にご利益があります。
(C)写真AC igamaniaさん

大楠のすぐ隣には「茶寮 五色の杜」があり、テラスから大楠を眺めつつ、静岡抹茶やソフトクリーム、わらび餅などがいただけます。

【大阪・能勢町/野間神社(蟻無神社)】
人もフクロウも集う、
野間の大けやきの並々ならぬ包容力


大阪の最北端に位置する能勢町は、なだらかな山並みをバックに山林や田畑が広がるのどかなところです。そんな田園風景の中に、空に向かって枝を伸ばす大きなけやきの木があります。遠目に見るとこんもり茂る小山のようにみえるその木は、樹齢1000年以上、高さ27m、幹まわり13m、枝張りは最大40m近くもあり西日本最大。辺りをすっぽりと包み込む雄大な包容力に圧倒されます。現在は野間神社(のまじんじゃ)の管理下ですが、もともとは歌人・紀貫之を祀る蟻無神社(ありなしじんじゃ)境内にあり、ご神木として信仰されてきました。地域の人々は、このけやきの木の新芽の出具合でその年の作物の吉凶を占ったり、神社の砂をまいて蟻を追い払ったといわれています。明治に入り、野間神社に合祀されましたが、木の根元には小さな祠が佇んでいます。


今も日々成長している大けやき。毎年4〜7月にはフクロウや渡り鳥のアオバズクが営巣し、卵を生み育てるけなげな姿が見られます。
(C)写真AC えたばりゅさん

この大けやきは、枝張りが大きいぶん木陰が多く、投影面積はなんと1000u以上あるそうです。農民、町人、貴族や武将など、きっとこれまでにさまざまな人がこの木陰で休んだことでしょう。1000年以上も人の世の栄枯盛衰を見続ける大けやきの歴史に思いを馳せると、気が遠くなりますね。
周辺には小川が流れ、のどかな里山の風景を楽しむことができます。800mほど先には、蟻無神社が合祀された野間神社があります。この神社の歴史はさらに古く、創建は聖徳太子の時代である605年。古社らしい穏やかな威厳に満ちた神社です。


大けやきの根元には蟻無神社と稲荷神社が祀られています。中央に鎮座するフクロウの像がかわいらしいですね。

こちらは野間神社の本殿。1300年ほど前、この一帯は物部氏(もののべし)の勢力下にあり、主祭神の饒速日命(にぎはやひのみこと)はその氏神であったと考えられています。

【島根・松江市/志多備神社】
まさに総荒神さまの化身!
見る者を圧倒するスダジイの巨木


神々が集う国・島根県の山あいにある志多備神社(しだびじんじゃ)境内には、地区の総荒神さまが宿るといわれるスダジイ(しいの木)の巨木があります。樹齢は数百年といわれますが正確には不明。幹まわり11m、高さ20m、枝張りは最大で33mあり、しいの木では日本最大を誇ります。荒神さまは中国・四国・九州地方の一部で信仰され、地域を守護する一方、気性が荒く祟りやすい神さまだそう。太い幹から枝が9つに分かれ、さらに枝葉をくねらせながら伸びる様子はまさに荒ぶる神のよう。畏敬の念を抱かずにはいられません。漫画家の水木しげるは、幼いころにこの木を見て八岐大蛇(やまたのおろち)だと感じたそうです。確かに、枝が今にもうねうねと動き出しそうな迫力があります。


スダジイの幹には大蛇の姿をしたクチナワと呼ばれる長さ40mの大縄が巻きつけられています。

この志多備神社の主祭神は、国造りの神さまである伊弉諾尊(いざなぎのみこと)・伊弉册尊(いざなぎのみこと)ですが、さらに天照大神(あまてらすおおかみ)・月夜見命(つくよみのみこと)をはじめ日本神話の神々も祀られています。創建や由緒について詳しくはわかっていませんが、733年完成の『出雲風土記』にその名があることから、1300年近く前にはすでにこの地にあったと考えられます。スダジイの森に囲まれた閑静な境内で、古代の神々の息吹が感じられそうな気がします。


志多備神社は華美な装飾のないさっぱりとした造り。それがいっそう神聖な雰囲気を高めています。