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特集 vol.232
一度は行きたい
集合!日本一の神社F
さまざまな神社の「日本一」をピックアップする企画の第7弾。今回は、神社数日本一の県など三っつの日本一をご紹介します。

【京都・京都市伏見区/伏見稲荷大社】
鳥居の数が日本一
外国人観光客にも人気ナンバーワン!


全国に約3万社あるといわれ、もっとも身近な存在である神社「お稲荷さん」。その総本宮が伏見稲荷大社(ふしみいなりたいしゃ)です。
ご存じ朱色に連なる千本鳥居が「ファンタジック!」と参詣者に大人気。口コミ旅行サイトトリップアドバイザー(R)の「外国人に人気の観光スポット」ランキングで、何年も続けて1位を獲得しています。
千本鳥居の「千」とは、たくさんあることを示しており、実際の鳥居の数は小さなものも含めると1万基前後ではないかといわれています。たくさんの鳥居はすべて奉納されたもの。江戸時代から鳥居の奉納をもって祈りと感謝の念を表す慣習がおこり、いまの素晴らしい景観を形作ることになりました。
公式サイトによると、多くの人を魅了する鳥居の色は「稲荷塗」といわれるもので、社殿もふくめ、元来稲荷神社の鳥居は朱色で彩色する慣習があるそう。朱色には、生命・大地・生産の力があり稲荷大神の「みたま」の働きとする信仰があると伝えられています。
御利益は、商売繁昌や五穀豊穣。社記に《衣食住ノ大祖ニシテ萬民豊楽ノ神霊ナリ》(稲荷谷響記)とあるように、平安の昔から庶民が信仰するお山であったことがうかがいしれます。千年以上の昔から、庶民を支え、守ってくださる神さまなのです。参拝の際は、入口付近の本殿だけでなく山頂までぜひ足を運び、稲荷大神の「みたま」の働きを感じてみてください。


神々しい趣の千本鳥居。混雑を避けて、朝一番に参拝するのがおすすめです。

重要文化財の本殿は、明応8年(1499)年に再興されたもの。

【沖縄・宮古島市/宮古神社】
日本最南端の神社は
南国ムードたっぷり


日本最南端の有人島は、沖縄県の波照間島ですが、最南端の神社である宮古神社(みやこじんじゃ)があるのは宮古島。那覇から280kmほど南島に浮かぶ離島で、那覇と台湾のちょうど中間くらいの距離に位置しています。「宮古ブルー」と呼ばれる美しい海は、海外の観光客にも人気で、近年は大型クルーズ船があいついで就航しています。
宮古神社にも、クルーズ船就航の影響から海外の参拝者が多く訪れているそうで、ホームページは中文など3カ国語対応済みとなっています。
そんな宮古神社は、1590年波上宮(なみのうえぐう)の熊野三神が勧請されて祀られたのがはじまり。別の場所に建っていた町社・宮古神社と合祀されたり、台風の被害や戦禍にあったりと紆余曲折を経て、2010年にもともと鎮座していた場所へ遷座され今に至ります。
まだ新しさを感じる境内と社殿は、芝生敷きに赤い琉球瓦で南国ムードたっぷり。小高い丘にあり宮古ブルーや伊良部大橋をのぞむ眺望は、しばし暑さを忘れさせてくれます。御朱印もいただけますが出向祭などにより不在になることもあるので、事前の連絡が確実です。


社殿は宮大工が伝統的な工法で建てたれっきとした神社建築です。

青々とした芝生敷きで版極ムードの境内。


新潟県の一宮の一社、彌彦神社(やひこじんじゃ)では、万葉集にも歌われる弥彦山が神体山としてお祀りされています。

神社数日本一は新潟県。その理由は?


神社庁が包括する神社は約8万社。県別でみると神社数がもっとも多いのが約4700社を有する新潟県です。新潟県が神社数日本一というと驚く人がほとんどです。「京都じゃないの?」「兵庫かと思った」という声も。
なぜ新潟県にもっともたくさんの神社があるのでしょうか?
その理由には2つの要因が考えられるようです。新潟県神社庁の栗田さんにお話をうかがいました。
「新潟県は、面積が広く明治時代にはもっとも人口の多い県でした。広い平野があることから広大な穀倉地帯があり、農作業のために自然に形成された自然村がたくさんありました。自然村にはそれぞれ必ずといっていいほど神社がお祀りされているので、自然と神社の数が増えたのでしょう。もうひとつの要因は、明治政府がおこなった『神社合祀政策』の影響が比較的少なかったことが考えられます。『神社合祀政策』とは、小さな神社を整理統合し神社の維持管理をしやすくしたり、格式を保たせようという目的でおこなわれたものです。この政策の影響で全国に19万社あった神社は明治42年ごろには11万社と激減しています。この政策は地域により格差があったようで、新潟県では多くの神社が残されました」。
ほかにも江戸時代の新田開発により、小さな集落がたくさんできたことも一因であるとか。集落に祀られた神社では、五穀豊穣が祈られ地域の人々の心のよりどころとなってきました。昔ながらの集落に、昔ながらの神社が残されている新潟県では、脈々と続いてきた神社のありようを、ほかの場所より一層よく感じられるのかもしれません。