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特集 vol.229
知っているようで知らない
神社トリビアC
知ってなるほど!神社トリビアシリーズの4回目は、夜の参拝やおみくじのルール、狛犬についての素朴な疑問を神社さんに聞いてみました。

神社の参拝、夜はNGってほんと?


「夜の神社は怖い」「夜は参拝してはいけない」と漠然と思っている人は多いかもしれません。それは、夜中におこなう「丑の刻参り」や、お化けが出る時間帯は「丑三つ時」といわれることが原因かも。また、神さまのお住まいである神社に夜遅くに参拝へ行くことは失礼にあたる、という説もあります。
そこで、都会の中にあって24時間境内を開け、夜でも参拝することができる東京の神田神社(かんだじんじゃ)の神職さんにお話しを聞いてみました。
「確かに夜の参拝は、よくないイメージがあるのかもしれませんね。朝の参拝のほうが清々しく、よいイメージはありますが、夜の参拝がNGということはないはずです。初詣も夜のお祭りもありますし、そもそも神社はいつでも開いていて、人々にオープンな場所です」。
神社は24時間開いているのが一般的。夜の参拝がNGであれば門があり閉じているはずですね。お祭りの前夜祭となる夜宮(宵宮)、ひとつの願いをかなえるために100回参る「お百度参り」はまさに夜におこなわれるもの。古来、神社では重要な儀式は夜中に執りおこなわれていたともいわれていますし、最近、挙式もできる神社の中で、夜からはじまる「かがり火挙式」が大人気だとか。
「私が神職としてお伝えしたいことは、神社ではあれをしてはいけない、神社ではこうあるべきだ、などの決め事を人に押しつけてはいけないということです。当社では夜中であろうと、参拝はいつでも構いません。都会の中にありますからさまざまな職業の人、さまざまなライフスタイルがあります。ですから夜に来られる方はたくさんいますよ。だからといって、何か困ったことが起きたこともありません。夜間は授与所が開いていなかったり、照明が暗く感じるかもしれませんが、常識的な意識で臨んでいただければ、夜の参拝も楽しめると思いますよ」。
昼間とはまた違った空気感の中、静かに祈りをささげに神社へ足を運んでみるのもよい体験かもしれません。


神田明神の社名で親しまれる神田神社。江戸三大祭のひとつ「神田祭」は5月。


子安神社のおみくじ自動販売機。「貴女の運勢を、お獅子が運びます」という文字が。

おみくじを引く
ルールってある?


神社へ足を運ぶと引いてみたくなるのが、おみくじ。そもそもおみくじとは「神さまの意思を知るための手段」。つまり神さまのメッセージです。
神社のおみくじは多種多様。バラエティに富んだおみくじの引き方に、共通のルールはあるのでしょうか?獅子が舞いながらおみくじをくわえ、ポトンと穴に落としてくれる自動販売機がある八王子の子安神社(こやすじんじゃ)、神職・八馬さんに聞いてみました。
「おみくじを引くルールも、おみくじの形態も、全国各地の神社さんによって千差万別です。おみくじは地域の特色が出るもの。それぞれの神社で引き方がある場合は、それに従うのがよいでしょう」。
おみくじのルーツは「天竺霊籤(てんじくれいせん) という中国の古いくじで、今の形に定着したのが鎌倉時代ごろからだといわれています。昔ながらのおみくじといえば、木箱を振って番号が書いてある棒を引くタイプが思い浮かびます。現在ではほかにも、ご神水に浸けると文字が浮かび上がるもの、帯をイメージした紙を使い結んでいるもの、シカやキツネ、八咫烏など守り神の置物とセットになったものや扇形や傘形、若者に大人気の「恋みくじ」などさまざま。
「ひとつ言えることは、おみくじは神さまのお言葉が書かれたものですから、大切に扱うことです。凶が出たとしても、それは悪いことではないので教訓として受け止め、大切に持ち帰っても結構ですし、境内のご神木に結びつけ、奉納していただいても結構です」といいます。
子安神社で、獅子舞のおみくじ自動販売機を置いた理由も聞いてみました。
「当社は安産の神社として、女性や子どもが多く参拝に来られます。ですから何か子どもが楽しめるものをと思って、20年ほど前から置いています。神社は街のお祭りがあって遊び場でもある場所。神社と触れ合う機会をつくるのも神職の仕事ですから、このような楽しい仕掛けがあってもいいかなと思いました。でも、獅子舞の動きがリアル過ぎて、子どもが怖がって泣いてしまうこともあるんですよ(笑)」。


おみくじを結びつけるときは、感謝の気持ちを込めて。


本殿前の狛犬、阿形。境内には天神様のお使いである牛の像「撫で牛」も。

狛犬が犬に見えない
のはどうして?


神社の入り口や本殿の前などで、参拝者を出迎えてくれる1対の狛犬。じっと見てみると「犬」の字がつくのに犬に見えないのに気づくはず。
江戸・東京の三大天満宮のひとつ、湯島天満宮(ゆしまてんまんぐう)本殿前には、梅が描かれた立派な台座の上に狛犬が鎮座。神職さんに、狛犬が犬に見えない理由について聞いてみました。
「狛犬は、昔から想像上の動物『霊獣』といわれています。神社の入り口や社殿の前に置く意味は、邪気を祓い、魔除けのため。片方は口を開けた状態の『阿形(あぎょう)』、もう片方は口を閉じた状態の『吽形(うんぎょう)』が一般的で、一対を阿吽の組み合わせにするのは日本独特なもののようです」。
歴史をさかのぼると西アジアを中心に、聖域の入り口や神像の周囲などに守護の獅子像などが置かれてきました。狛犬の祖先は遠く古代オリエント文明時代のスフィンクスや、ライオンと中国古来の霊獣観が融合した唐獅子ともいわれているので「犬」でないことは確か。日本には、仏教と一緒に朝鮮半島を経て日本に伝わったといわれ「高麗犬(こまいぬ)」が「狛犬」になったという説も。
「当社、本殿前の狛犬は片足を上げた状態の、足上げ狛犬です。いつ造られたものかははっきりとわかりませんが、平成7年(1995)年の社殿建て替えのときに台座を新しくしました。一方、摂社の戸隠神社の狛犬は足を上げていないものです。そして本殿の中には、木製で色彩を施した狛犬もいますし、参道入口にある銅製鳥居の下にも狛犬の飾りがあしらわれています」。
想像上というだけあって、狛犬はその表情やデザインが多彩。各地の神社をおとずれたときには、その違いを見比べてみるのも楽しいですね。