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特集 vol.220
2019年は亥年
狛犬ならぬ狛イノシシに会える
招福初詣へ
2019年の初詣は、干支にちなんだ初詣へでかけてみませんか? 神さまを加護する狛イノシシがある神社を、御利益とともにご紹介します。

ちょっぴり愛嬌のある狛イノシシは、社殿前に設置されています。

【京都・京都市上京区/護王神社】
ランナー必見
足腰守護の
イノシシ神社


“足腰の健康・病気怪我回復”の御利益をいただけることから全国のランナーがおとずれるのが、京都御所の西側、烏丸通沿いに建つ護王神社(ごおうじんじゃ)です。
こちらの神社を参拝すると目に着くのが、あちこちにあるイノシシの姿。入口脇にある手水舎の軒の下では、龍ではなくイノシシの口から流れる水で手・口を清めることができ、境内では狛イノシシがお出迎え。亥年を迎える前のいまの時期には、境内にイノシシが描かれた大絵馬も掲げられています。

護王神社でイノシシが神使とされているわけ、足腰守護の御神徳のわけ、そのどちらも御祭神である和気清麻呂公(わけのきよまろこう)に由来します。
和気清麻呂公は、奈良時代末期から平安時代初期の貴族です。その当時、朝廷で一大派閥をつくり権勢をふるっていたのが弓削道鏡(ゆげのどうきょう)という僧侶。道鏡が、宇佐八幡(現在の宇佐神宮)から「道鏡を皇位に就かせれば天下太平になる」というご神託を受けたとして皇位に就こうとしますが、宇佐八幡でご神託が偽物であったことを確認し、これをはばんだのが清麻呂公です。道鏡からうらみを買ったため、清麻呂公は足の腱を切られた上に、流罪になってしまいます。その道中に、どこからともなく300頭ものイノシシが現れ、道鏡の刺客から一行を守りながら道案内をしてくれたとか。不思議なことに、清麻呂公の足も治っていたと伝えられています。
清麻呂公とイノシシに深いご縁があることから、神使もイノシシとなり、足腰の守護神と仰がれるようになりました。亥年生まれには特に御利益があるともいわれているので、年男・年女の人には特におすすめです。


2019年に向けた大絵馬は6:00〜21:00の開門中に見学可能。12月23日には「チェーンソーアート猪彫刻ショー」も予定されています。


特製イノシシ絵馬は、12年に1度、亥年の正月にのみ授与されています。

【滋賀県・日野町/馬見岡綿向神社】
亥年限定絵馬で
出世開運の願掛けを


日本の三大商人をご存じでしょうか?大阪、伊勢、そして近江です。近江商人のなかでも日野に拠点を置いた日野商人は、お金が貯まればすぐに新しい店を出す小型店経営をおこない、関東まで多店舗展開するなど、独自の商法で成功をおさめたことで知られています。

イノシシにゆかりのある馬見岡綿向神社(うまみおかわたむきじんじゃ)は、そんな日野商人たちの氏神として篤い崇敬を受けた神社です。
境内に入ると目に着くのが御本殿横の大猪像。12年に1度、亥年の正月には神社に古くから伝わるイノシシの焼印入りの絵馬も授与されています。
神社のはじまりは欽明天皇6年(545年)。綿向山に猟に来ていた地元の豪族が大雪のなかでイノシシの足跡を夢中で追いかけると山頂に出て、そこで「この頂に祠を建てて私を祀れ」という神託を受けたことから四季の祭りをとりおこなうようになり、神社が創建されました。以来、綿向山の麓の現在地に里宮を山頂に奥之宮が鎮まっています。
創建の由来から、イノシシは御祭神の神使といわれ、社殿や神輿、石灯籠の装飾にも使われるようになりました。
日野商人の崇敬を受けたことから御神徳は、出世開運。御祭神ゆかりの亥年に初詣へ行けば、よりよい福を授かれるかもしれません。


司馬遼太郎も「不思議なほど品がよかった」と記した境内。

御本殿前には大猪の石像が。


くるんと丸まった尻尾の狛イノシシ像は、亥年の初詣で必見です。

【東京・青梅市/武蔵御嶽神社】
おいぬ様の社に
謎の狛イノシシを発見


東京の奥座敷、御岳山の山頂にある武蔵御嶽神社(むさしみたけじんじゃ)にも、狛犬ならぬ狛イノシシがあります。
狛イノシシが設置されているのは、本殿の右手にある皇御孫命社(すめみまのみことしゃ)の前です。皇御孫命は、天照大神(あまてらすおおみかみ)の孫、瓊瓊杵尊(ににぎのみこと)を祀る神社です。武蔵御嶽神社の神使といえばおいぬ様=日本オオカミ。狛犬もオオカミの姿であることが知られています。おいぬ様の神社に、なぜ狛イノシシが置かれることになったのでしょうか?
武蔵御嶽神社の広報ご担当の方にうかがってみると「実ははっきりしたことは伝わっておりません。一説には、以前この社が東照宮であったため、徳川家康公が崇敬していた摩利支天の神使であるイノシシを、東照大権現(とうしょうだいごんげん、家康公の神名)をお守りするために置かれたのではないかといわれております。また一説には、以前に別の場所にあった愛宕社に置かれていたものが、移されたのではないかともいわれています。愛宕社は火防の神さまでイノシシをお使いにしているんですよ」と教えていただきました。

御嶽神社は、盗難除け・魔除け・豊作の神さまとして広く信仰されてきた神社です。神社が鎮座する標高929mの御岳山山頂へは、途中までケーブルカーでアクセスが可能。大晦日から元旦は終夜ケーブルカーが運行されているため、初日の出を楽しもうとする人々も多く訪れています。
初日の出は武蔵御嶽神社の拝殿前をはじめ、ケーブルカー御岳山駅前の広場、登山道を通って御岳山駅から徒歩15分〜20分の長尾平、徒歩1時間ほどの日の出山山頂からも見ることができます。長尾平、日の出山山頂へは、ヘッドランプなどの夜間の装備と登山靴をはじめ冬登山の装備を整えておでかけください。


狛イノシシが設置されている皇御孫命社。

関東一円を見渡す境内からは、晴れれば素晴らしいご来光を見ることができます。