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特集 vol.207
知っているようで知らない
神社トリビアB
知ってなるほど!神社トリビアシリーズの3回目は、鳥居の奉納や柏手の意味、お賽銭を入れる作法について神社の神職さんに聞いてみました。

伊豆山神社の鳥居のひとつには小泉今日子さんの名前が記され、SNS上でも話題になっています。

奉納された鳥居がずらりと並ぶ伏見稲荷大社の名所、千本鳥居。

寄進者の名前入り
鳥居や石灯籠
誰でも奉納できるの?


神社を歩いていると、鳥居や石灯籠、玉垣などに「奉納」の文字と奉納した個人のフルネームが記されていることがあります。いったい、どんな人がどんなときに奉納しているのでしょうか?「通常、鳥居や石灯籠は、神社の周年行事や大きな改修などの機会に奉納いただくことが多いと思います」と教えてくださったのは、静岡県熱海市にある伊豆山神社(いずさんじんじゃ)の神職大鳥居さん。伊豆山神社は、関八州の総鎮護。境内には女優の小泉今日子さんの名前が入った鳥居が奉納されていることでも知られています。
「お名前を入れるのは、あくまでも神社として奉納者への感謝の気持ちと、それをいただいたからには大切に守っていきますよ、という神社側の意思のあらわれです」。
おそるおそる小泉今日子さんが鳥居を奉納された経緯をうかがってみると「個人に関することはお答えできないのです」とのこと。「そうですよね」と納得するとともに、個人情報が守られていることになんだか安心してしまいました。
では、もし個人で鳥居など残るものを奉納したいときにはどうすればよいのでしょうか?
氏子など神社との深い関わりがなければ奉納できないものなのでしょうか?
「基本的には、どなたでも奉納していただくことができます。なにを納めるかについては、奉納者と神社との話し合いです。特に大きな鳥居や石灯籠の場合は、建てる場所のこともあるので、話し合って決めていくことになります」と教えていただきました。
下世話なようですが、感謝の気持ちをあらわすための金額も気になります。伊豆山神社をはじめ多くの神社では、鳥居や石灯籠をいくらで奉納できるかは明らかにされていません。
しかし「鳥居奉納のご案内」というホームページがあり、金額をあきらかにしている神社もあります。ズラリと並ぶ鳥居の様子から「外国人が選ぶ日本の観光地第一位」にも選定された、京都府京都市伏見区の伏見稲荷大社(ふしみいなりたいしゃ)です。初穂料は、奉納場所によって異なりますが鳥居のサイズごとに17万5000円~130万2000円。これはなかなかの金額ですね。
奉納とは、神さまに感謝をささげる気持ちがもっとも大切。金額の多い、少ないでもなく、ものを納めるだけでもありません。神輿をかつぐ、舞を舞う、音楽を捧げることも奉納。神さまが喜んでくださる方法は、さまざまな形があることもお忘れなく。



長い歴史を経て、神社の参拝作法は「二拝二拍手一拝」が基本形となりました。

参拝のときの柏手
どんな意味がある?


参拝のときに手を打ち合わせる柏手(かしわで)。
柏手とは、神さまに誠の心を捧げ、お陰をいただいていることに心から感謝して打つものですが、なぜ、手を打つのでしょうか?
教えてくださったのは創建1900年の歴史を持つ東京都府中市の大國魂神社(おおくにたまじんじゃ)さん。「柏手とは『はくしゅ』と同様におめでたいときや表彰されたとき、素晴らしい舞台を観たときなど、喜びと敬意をあらわす方法です。作法といっても大切なことは、その人の気持ち。それは人同士でも同じですよね?神社側がこうしなさいというものではなく、その人なりのやり方で神さまに敬意をあらわせばよいと思います」。
大國魂神社、拝殿階段の隅にはひっそりと木製の置き看板があり、そこには「参拝方法 二拝二拍手一拝」と書かれています。
「作法としてはいろいろあるようです。伊勢神宮では特殊神事の際、神職が八度拝八開手といって8回拍手する場合や、出雲大社など4回という神社もあります。言うまでもありませんが、拍手の回数が多ければよいというものでもありません」。
手を打ち鳴らすときには、しっかりと手のひらを張り、柏の葉のように両手の指をそろえてパチンパチンと打ちましょう。



小銭でもお札でも、箱に入れるときは手のひらを上にして、そっと入れましょう。

平日でも参拝者が絶えない大國魂神社。

お賽銭を入れるときの
よりよいお作法は?


初詣などの人混みでお賽銭を投げている人がいます。
神社本庁のホームページには「お供物(お賽銭)を投げてお供えすることには、土地の神さまに対するお供えや、祓いの意味があるともいわれています」と書いています。なるほど、「投げる」行為にも古来の意味があるのですね。しかし「箱に投げ入れる際には丁重な動作を心掛けたいものです」ともあります。「丁重な動作」で投げ入れるのはなかなか難しそうですが、どのようにすればよいのでしょうか?これについても、伊豆山神社の大鳥居さんに伺ってみました。
「人にものを差し上げるときに、上から投げて渡す人はいませんよね?私たち神職も玉串を捧げるときには手のひらを上にして榊に添え、丁寧にお捧げいたします。相手に対して失礼がないように、お賽銭を入れるときも神さまに『どうぞお納めください』という気持ちを込め、手のひらを上にしてそっと入れてください。いわゆるアンダースローが好ましいでしょう。日本人の美意識の中には『喜捨』という精神があります。お賽銭を奉納するのも同じようなことかもしれませんが、手の甲を上にしてお金を捨てるように入れるのは精神とは反するものだと思います」。
しかし、初詣などのときは境内が大混雑。お賽銭箱に近寄ることもままならない場合もあります。
大國魂神社さんは「どうしても遠くから投げなくてはならないときは、上からではなく下からなるべく丁寧に投げ入れてください」ということでした。
お賽銭のマナーはオーバーハンドではなく、アンダースローと覚えておきましょう。