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特集 vol.204
ご利益のある神社はどこ?
交通安全祈願~中国地方編
桜咲く、新生活の季節。交通安全祈願に出かけてみませんか?今回は、岡山・山口・広島と中国地方で交通安全の御神徳が知られる神社をご紹介します。

奈良時代末期から平安時代初期にかけて国難に立ち向かった政治家・和気清麻呂公。

車祓いは、拝殿の前と神前でおこないます。

【岡山・和気町/和氣神社】
和気清麻呂公らを祀る
和気氏の氏神さま


足腰の神さま、子どもの守り神として知られる和氣神社(わけじんじゃ)。代々この地を治めた和気氏ゆかりの神さまを祀る神社です。
境内で存在感を放つのは、和気清麻呂公(わけのきよまろこう)の大きな銅像と狛犬ならぬ、狛亥(こまいのしし)です。交通安全の御守りにも描かれているイノシシ。イノシシが清麻呂公の随神とされるのは、次のような言い伝えからです。
配流先の宇佐へ向かうとき、どこからともなく数百頭のイノシシがあらわれ道中の安全を守ったこと。また、清麻呂公が突然歩くことができなくなったとき、イノシシに案内された霊泉に足を浸したところ、たちまち歩けるようになったのだとか。足腰の神さまとされるのも、この伝説がもとになっています。
一方、子どもの守り神とされるのは、御祭神のひとり清麻呂公の姉・和気広虫姫(わけのひろむしひめ)の功績から。広虫姫は、戦乱で親を亡くした子どもたち83人を引き取り、日本における孤児院のはじまりに寄与したといわれています。境内には、慈悲深い笑みを浮かべた広虫姫の像も建っています。
「やはり足腰の健康・平癒祈願の参拝者がいちばん多いのですが、我が子の健康、交通安全を願う参拝者も多くいらっしゃいます。通学の安全祈願に、身に付けるため小さなサイズの御守りを求める方が多いですね」と教えてくださったのは宮司の小森さん。
車祓いを希望する人は、日笠川にかかる赤い霞橋を渡り、清麻呂公の銅像を左折。拝殿へ向かって進み車を止めて受付をしてください。


イノシシがついた交通安全のステッカー700円、御守りは小・中500円、大700円。


参拝者でにぎわう境内。御守りは、バイクの絵がついたカード式の2輪用守600円が人気。

車祓いは、専用の社殿前でおこないます。

【広島・廿日市市/速谷神社】
車両の御祈願といえば
山陽道の「速谷さん」


「車を買ったら速谷さん」といわれ、遠く関西や九州からもドライバーが訪れる速谷神社(はやたにじんじゃ)。
畿内と九州を結ぶ大動脈で、江戸時代は参勤交代に使われる重要な街道でもあった山陽道近くに鎮座します。現在では山陽自動車道宮島SAスマートICからすぐという好アクセス。古来、九州へ向かう多くの旅人が道中の安全を祈願するために立ち寄ったことから交通安全の神さまとして長く親しまれてきました。
御祭神は、安芸国を拓いた大神・飽速玉男命(あきはやたまおのみこと)。車祓所には、お祓いを司る祓戸大神(はらえどのおおかみ)を祀ります。
全国有数の交通安全祈願の神社として知られるだけあって、宮司の櫻井さんは「年間、約1万2千件の車祓いをおこない、参拝者が受ける交通安全の御守りは、企業分も含めて年間10万体を数えます。戦後、車社会が進行するなかで、たいへん多くのドライバーが参拝をされ、神さまの御力が増してきたのではないかと感じています」といいます。
参拝者の中には「免許を取って50年。速谷さんのおかげで無事故無違反でした。きょう免許を返納しました」という年配ドライバーや、「後ろから追突されましたが、貼っていた速谷さんのステッカーに当たり車は無傷でした」という女性ドライバーなど、感謝の報告に来る人が多数。
毎年1月7日におこなう交通安全大祭は、交通安全に特化した神事。世の中すべての交通安全を祈る、神社としては珍しい大祭です。毎年多くの参拝者が愛車や社用車とともに交通安全祈願のために訪れるのだそうです。また、2輪車用の御守りを求める人も多く、バイク愛好者や地元大学のサイクリング部が列をなして速谷さん参りにやってきます。


1月7日、交通安全大祭のはじまりを待つ参拝者で境内はいっぱいになります。


交通安全の御守りほか、部勝(活)守りや仕事運向上守りなどもあります。

本殿の手前に、立派な授与所が置かれています。

交通安全でいちばん人気の御守り。御守り袋の美しい柄の生地が女性向けです。800円。

【山口・宇部市/琴崎八幡宮】
御守りと御札が
800種類以上


山口県内神社の大社であり、宇部市を守護する産土神社として知られる琴崎八幡宮(ことざきはちまんぐう)。
縁結び、安産・子育ての御利益で知られますが、御祭神のうちの1柱に海上安全・交通安全の守護神・宗像三女神を祀っていることから、交通安全祈願の参拝者も多い八幡さまです。
山陽自動車道宇部ICからのアクセスも良好で、駐車場も広々としているので車祓いの利便性はバツグン。年間で約2000台、トラック、タクシー、社用車、車の販売代理店、一般車購入者などが訪れます。
琴崎八幡宮の特徴は、何といっても御守りと御札の種類が多いこと。日本一といっても言い過ぎではないほどで、その数800種類以上。なかでも交通安全の御守りは106種類で、色違いを入れると約300種類がそろい、目移りしてしまいそうです。
授与所は昨年、新たに建て直しピカピカに生まれ変わりました。「和魂洋才の精神をあらわすため、モダンと和の融合を目指したデザインに。また、日本の伝統技術でもある、御守りを包む布の織りが美しく見えるよう、内装と照明にも気をつかいました」と教えてくださったのは、神職の方。
なぜ、御守りの種類がこれほどまでに増えていったのか理由をたずねたところ「当八幡宮の御祭神、八幡大神様は広大無辺の神様として、また『八』『幡』ともに末広がりという意味がございまして、多くの参拝者の願いをかなえるべく御守りの数がだんだんと増えていきました」ということでした。
参拝の際、御守りを求める方は選ぶ時間をたっぷりととっていくといいですね。