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特集 vol.164
首都圏のサラリーマン必読
東京の出世神社で開運祈願
参拝すれば仕事運が上昇するといわれる神社が多い東京。なかでも注目の3社を訪ねてみました。渋谷区と渋谷区のお隣の港区に固まっているので、1日で3社巡りも可能。

境内はこんもりとした森に覆われています。

本殿右手奥にある出世稲荷社。見逃さないようにご注意を。

【東京・渋谷区/代々木八幡宮】
芸能人のあいだでも評判!?
出世稲荷で仕事運アップ


代々木八幡宮(よよぎはちまんぐう)は、小田急線の代々木八幡宮駅、東京メトロ千代田線の代々木公園駅から徒歩5分ほど。
山手通りに出ると堂々とした石の鳥居が見えてきます。社殿は、石段を登ったその先。頭上をすっぽりと木々が覆う豊かな森の中にあります。
出世を願う人たちがこぞって参拝するのは、拝殿の右奥にある出世稲荷社。某テレビ番組で芸能人が出世稲荷社に参拝したところ仕事が増えたという話しが紹介されてから、より広く知られるようになりました。
稲荷社の入り口にある案内版によると。第二次世界大戦の空襲で焼け跡に残された稲荷社の祠や神使の狐が無残な姿をさらしていたことから、有志の人々が拾い集めて合祀したのが起源だそう。
短い参道を進むと、「代々木出世稲荷大明神」と書かれた幟がずらり。御礼参りに奉納したものなのでしょうか。古いものも新しいものもあり、信仰を集めていることが感じられます。
出世稲荷社は、赤い鳥居の奥にある小さな社。
参拝したら、右手に進んで小さな富士塚に登拝して富士山のパワーもいただいてから帰るのがおすすめです。



代々木八幡宮からはバスで渋谷駅までアクセスすることも。

社殿と神門は、江戸初期の神社建築を伝えるものとして渋谷区の文化財に指定されています。

【東京・渋谷区/金王八幡宮】
春日局の悲願を叶えた!?
渋谷・青山総鎮守


金王八幡宮(こんのうはちまんぐう)は、渋谷駅から徒歩5分ほど。
門前には並木が続く短いながら立派な参道があり、渋谷の喧噪から隔絶した雰囲気をかもしだしています。
こちらの神社の出世のご利益は、徳川三代将軍の座を巡る後継者争いに由来します。
三代将軍の候補は、吃音があり病弱な兄の家光と健康で闊達な弟の忠長。
父の秀忠と母のお督に寵愛を受けた忠長は、長男家光を廃嫡して忠長に跡を継がせるべきではないかと考えられていたようです。
忠長は実母に育てられたものの、家光を育てたのは乳母である春日局。
なんとか家光を将軍の座につかせたい春日局と教育係だった青山伯耆守忠俊は、家光の三代将軍就任を願って金王八幡宮に祈願を重ねていたと伝えられています。
春日局の心願がかない家光が三代将軍となったため、金王八幡宮は出世がかなうと信仰されるようになりました。
出世祈願に訪れたら、朱塗りの神門や日光東照宮を思わせる鮮やかな彫刻が施された社殿にも注目を。こちらは将軍となった家光が金百両と多数の材木を奉納して造営されたもの。
渋谷区の文化財にも指定されています。



上から見た出世の石段。身の危険を感じるほどの急勾配です。

山頂に広がる境内は、都会のオアシス。池やひと休みにぴったりの茶屋もあります。

【東京・港区/愛宕神社】
足が震える急傾斜!
出世の石段で願掛け


最後にご紹介するのは、23区内でもっとも高い山、標高26mの愛宕山山頂にある愛宕神社(あたごじんじゃ)です。
愛宕神社は、慶長8年(1603年)に徳川家康の命で防火の神さまとして祀られました。
出世祈願で有名なのは、愛宕神社に上がる急な石段「出世の石段」。
その名の由来は、講談で有名な「寛永三馬術」の中の曲垣平九朗の故事にちなみます。
寛永11年(1634年)に三代将軍家光が、芝の増上寺の参詣の帰りにこの地を通り、愛宕山の上に咲く梅を馬で誰かに取りに行かせようとしました。当時から変わらぬ急勾配の石段は、歩くのでさえ勇気が必要なほどのため、馬で行となると命がけになります。
誰も申し出ることができないなか、唯一人、無事に上り下りしたのが曲垣平九朗。
この件で「日本一の馬術の達人」として家光公のおぼえがめでたく、その名が一日にして全国に広まった、というお話から「出世の石段」と呼ばれるようになったとか。
現在では、この石段をひと息に上れば出世が叶うともいわれています。
実際に上ると、足を止めずに上へ到達するのは厳しいほどの高さと勾配。
息を切らせながら山頂にたどりつくと、都会のオアシスともいえる静かな時間が流れる境内があります。参拝し、池で鯉を眺めたり、ベンチでひと休みしたりと、のんびり過ごせるのがうれしいところ。
帰りに石段を下るのが怖い場合は、勾配がゆるい女坂を利用するのもおすすめです。