能舞台を覆うように森が広がっています。
神職が橋を渡り、神事から薪能がスタート。
自然との一体感がスゴイ! 身曾岐神社「八ヶ岳薪能」を体験
薪能とは、野外で夕方からかがり火を焚いておこなわれる能のこと。 薪能のロマンチックな雰囲気に誘われて、昨年2011年8月3日に行われた身曾岐神社(みそぎじんじゃ)の「八ヶ岳薪能」へ行ってきました。能を観るのは初めての上、前日はほとんど寝る時間がなかったというコンディションだったため「退屈して寝てしまうかも」と、失礼な予感を抱きつつの観賞。しかし、結論からいうと眠気も吹き飛ぶおもしろさでした。 まず、ひと目見て思わず歓声をあげてしまったほど会場が素晴らしい。 すり鉢状の観客席の向こうには神池があり、その上に能舞台が浮かぶように立っています。会場の廻りには鎮守の杜が広がり、精一杯に鳴くヒグラシや、巣に帰る鳥の声が聞こえてきました。全国屈指の能舞台といううたい文句にいつわりのないロケーションでした。
野村萬斎の狂言「柿山伏」。滑稽な動きに会場が沸いていました。
ほの暗い夕闇のなかでおこなわれた「篝火点火の儀」。
艶やかで幻想的な観世清和の「紅葉狩」。
ヒグラシの声さえ相乗効果を生む 幻想的な世界へ
開演はまだ十分に明るい16時45分。最初に神事の「舞台清め祓い式」がおこなわれ、薄暮の時間に能「経正」と狂言「柿山伏」、神事の「篝火点火の儀」を経て、再び能「紅葉狩」をおこなうというプログラムでした。 3つの演目に関しては、インターネットであらすじをチェックして予習済み。「経正」では胸が締め付けられ、「柿山伏」では滑稽さに吹き出し、「紅葉狩」では妖艶な世界に引きずり込まれ・・・。難解だと思っていた能や狂言が、すんなり心に入ってきたのは、予習のおかげだけでなく、自然の開放感にのせられたせいもあるように思えました。 多くの能の作品では、幽霊や鬼が登場する幻想的な世界が描かれています。 舞台で繰り広げられる幻想的な世界が、大自然の圧倒的に暗い夜にぴたりとはまり、ヒグラシの大合唱でさえ相乗効果を生む、まか不思議な世界。能を観たときから半年以上が過ぎた今振り返ってみると、強烈にもう一度あの世界を観たい気持ちがわき上がってきました。今年度の情報は4月中旬に公開予定。興味がある人はぜひチェックしてみてください。
●八ヶ岳薪能 会場:身曾岐神社能楽殿 開催日:8月3日(金) 料金:1万円(協賛金)
薄暮の時間に、近所の人達が普段着で集まってきます。
潮風に現れた風情が清々しい、県指定有形民俗文化財の牛尾神社能舞台。
世阿弥も過ごした能の島、佐渡の薪能
新潟県の佐渡島は“能の大成者”と呼ばれた世阿弥が罪人として流された島。世阿弥が残した能のDNAが江戸時代に花開き、明治時代に最盛期を迎えました。 明治時代には島内に200もの能舞台があったと伝えられています。ほとんどが神社に建てられていたため、佐渡の能は娯楽と神事という2つの意味をもって上演されていました。能舞台は、地域のコミュニティのよりどころであり、共有の財産。そこに村人みずからが舞台に立ち能を演じていました。 現在、能舞台の数は30ほどまで減ってしまいましたが、それでも日本の能舞台の3分の1が集中するといわれています。年間20もの公演の大部分が、神社の境内でおこなわれる薪能。一番開催が多い6月から7月には、10以上の上演が予定されています。 2011年秋に放映されたJR東日本のCM「大人の休日倶楽部『佐渡の能』篇」では、佐渡の薪能のようすが紹介されました。6月には、CMで吉永小百合さんが見に行っていたかやぶき屋根の大膳神社能舞台での公演も、年1回の薪能をおこないます。
●佐渡薪能 問い合わせ: 佐渡観光協会 Tel:0259-27-5000 http://www.visitsado.com
どこ行く?神社の薪能
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<5月14日> 10回目を迎える 復活した神事能 |
東京・千代田区 |
神田明神 (かんだみょうじん) |
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<5月8日> 開花時期の境内で開催する 「奉納つつじ能」 |
東京・文京区 |
根津神社 (ねづじんじゃ) |
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<7月下旬> 神域内で奉納される 「伊勢薪能」 |
三重・伊勢市 |
伊勢神宮 (いせじんぐう) |
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<5月31日〜6月1日> 6月の京都の恒例行事 「京都薪能」 |
京都・左京区 |
平安神宮 (へいあんじんぐう) |
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その他の薪能
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